薄毛薬として有名なプロペシアやミノキシジルタブレット(ミノタブ)など、日本国内で使われている薄毛治療薬は7種類程度あります。
さらに海外から個人輸入しているサイトから買える薄毛薬を加算すると、選択肢は広がります。
しかし、どの薄毛治療薬がいいか知識がない中、選択するのは危険です。
薄毛治療薬の多くは、国に認可されている薬もあれば、実はそうでない薄毛薬もあります。コンプレックスに感じる髪を生やすために独自判断で活用してしまうと、健康を害する副作用など起きてしまいます。
また、薄毛治療のため病院に通おうと思っている方も注意が必要です。医者によって薄毛治療薬に対する解釈はまばらで、時には十分な説明がなされないまま、薄毛治療が進んでいるなんてこともあります。
そこで、日本で手に入る薄毛治療薬の特徴や副作用をまとめました。本当に使うべき人はどういった人でしょうか。
まずは知識をしっかり身につけて健康的に髪を生やしましょう。

【お名前】圓山 尚
【専門】皮膚科
【監修医師プロフィール】
金沢医科大学卒業後、クリニックフォア新橋の院長。皮膚科は内蔵の疾患やアレルギーとの結びつきも多く、内科、アレルギー科も含め総合的に捉えて診療するよう努めています。
薄毛治療薬は大きく分けて2通り!特徴と副作用
薄毛治療薬といっても、機能は大きく分けて2パターンあります。
AGA(男性型脱毛症)の治療薬として使われることの方が多い、脱毛する原因にアプローチする薄毛薬と髪の毛を生やす作用を持つ発毛薬です。
今回は、飲み薬を中心に取り上げ、頭皮に塗る治療薬(外用薬)は解説しません。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
※育毛剤・発毛剤に関する記事のリンク
薄毛治療薬は基本的に、医師の診断と処方をもとに使っていくことがほとんどです。中には、個人輸入や代行サイトから入手できる薄毛治療薬もありますが、副作用の危険性があるため、決しておすすめできません。使う方も自己責任で使っていると思います。
では、抜け毛を改善する治療薬があるのか、それぞれ見ていきましょう。
ミノタブの特徴!ミノキシジルを主成分とする発毛薬
発毛や育毛、薄毛が気になっている人は一度でも聞いたことある、ミノキシジルという成分。発毛効果が確認されている成分で、このミノキシジルを使ったところ9割の方が効果を体感しています。
ミノキシジルを主成分とした発毛剤は、大正製薬から発売されているリアップシリーズが有名です。
リアップシリーズは、塗り薬(外用薬)ですが、ミノタブは内服薬として利用することで、血液にミノキシジルがのって毛母細胞まで届きます。
そのため、塗り薬に比べると強力かつ効果が出やすいと言われています。
ミノタブの特徴としては大きく分けて2つあります。
血行を促進させて栄養を沢山届くようにする。もうひとつが毛母細胞を活性化させ、発毛を促す。
薄毛の原因はいくつかありますが、毛母細胞が不活性状態になり、髪が生えなくなっていることが多いです。その根本原因を解決するために、ミノタブは存在します。
効果だけをみると、ミノキシジルを経口摂取する薄毛治療薬として活用されることは多くありますが、海外でも日本でも薄毛治療薬として認可はされていません。理由としては、降圧剤として開発された経緯があります。
そのため、もし活用するケースでも、医師の指導のもと、正しくお使いください。
プロペシアの特徴!脱毛の原因をブロックする国内初のAGA治療薬
プロペシアは、フィナステリドを主成分としたAGA(男性型脱毛症)の治療薬です。2005年に認可され、10年間の臨床データから副作用が出る確率も低く、主流となっています。
プロペシアは、ミノタブと異なり発毛薬ではなく脱毛改善の治療薬です。薄毛のメカニズムであるテストステロン(男性ホルモン)が5αリダクターゼと結びつく、抜け毛の原因を阻害する。
脱毛酵素が働かなくなることで、徐々に育毛へシフトチェンジし、正常なヘアサイクルが戻ってくるようになります。
副作用が少ないということもあり、まずはプロペシアを処方し様子を見るというクリニックが多いです。
ザガーロの特徴!プロペシアより強く副作用が起こりやすい
ザガーロは、プロペシアを使い効果がなかった方に対して、選択肢のひとつとして提案されます。
ザガーロもプロペシアと同じ、脱毛を防ぐ薄毛治療薬です。薬の主成分はデュタステリドで、5αリダクターゼ1型、2型の両方に作用するため、より強い効果が期待できます。
2015年に認可された比較的新しい薬で、より多くの薄毛タイプに効果があります。
しかしその分副作用も起こりやすく、服用後の経過を見て、身体に対し変調をきたしていないか医師と相談しながら気をつけて使うと良いでしょう。
アボルブの特徴!脱毛ホルモンの抑制!元は前立腺肥大症の薬
ザガーロと同様の働きをする薄毛に効果のある薬があります。アポルブという前立腺肥大症を治療目的として開発された内服薬です。
前立腺肥大症の治療薬がなぜ?と思いますが、有効成分や添加物もザガーロとほぼ同じです。
アポルブは、元々薄毛治療薬として開発されたものではないため、医師の方から勧めることはあまりないと思いますが、本人の希望で変えられる可能性はあります。
変えたい理由としては、ザガーロよりアポルブの方が、1割程度金額が安いのです。薄毛の治療は、内科的疾患が原因で起こる薄毛以外は全て保険適用外です。そのため、少しでもお薬代を安くしようと思っている方にはちょうどいいかもしれません。
念の為、アポルブとザガーロの違いを医師に確認してください。
フィナステリド錠の特徴!プロペシアのジェネリックの方が続けられる?
薄毛治療薬に関して、ジェネリック医薬品はあるのでしょうか。少しでもお薬代を安くするためにも、効果は同じなジェネリックを希望してもいいかもしれません。
AGAの治療薬として有名なプロペシアのジェネリック医薬品「フィナステリド錠」は、プロペシアより1ヶ月あたり2,000円~2,500円程度安いためお得です。
ジェネリック医薬品を希望される方は変更可能なことがあるので、お医者さんにその旨をお伝えください。
なお、ザガーロのジェネリック医薬品は、2020年5月現在まだ開発されていません。ザガーロは2015年に認可を受けた薄毛治療薬であるためです。
しかし、ザガーロのジェネリックが2020年夏ころに誕生するのではないか?という噂もあります。
薄毛治療薬代が安くなるということは、特許を保有しているメーカーに対して、不利益になることもありますが、ユーザーにとっては長期的に使うお薬に対してはかなり助かるのではないでしょうか。
医者独自の処方薬もある
製薬メーカーが発売している薄毛薬もあれば、薄毛専門クリニックや病院が独自で処方するお薬もあります。
ミノキシジルやフィナステリドの両方を組み合わせ、栄養成分(ビタミンやミネラルなど)を添加し、作られた処方薬もあります。
基本的には一般的な治療薬を処方されると思いますが、医師によっては独自のお薬もあるため、自分にとっていい飲み薬を選択しましょう。
薄毛薬の副作用まとめ!どれくらいの割合で症状が出る?
ミノタブ(発毛を促す薬)やプロペシア(脱毛を抑制する薬)など、副作用はあるのでしょうか。そして、どれくらいの確率で症状が出るかも気になりますね。
ミノタブとプロペシアに焦点をあてて、副作用の症状と確率を見ていきましょう。
薄毛薬を使用したあと起こる副作用はどんな症状が?
薄毛治療薬を使用した際に気になるのは副作用です。
ただ、どんな薬にも副作用として症状が出る可能性はあり、出るか出ないかは体質によっても変わってきます。
副作用は、薬によって様々で、男性ホルモンが低下することによる性欲減退や頭皮のかゆみ、荒れ、発疹などがあります。そのほか、強い薬では心臓に負担がかかるような副作用も報告されています。
代表的な薬、ミノタブとプロペシアの副作用を見ていきましょう。
ミノタブの副作用と症状の確率
ミノタブは効果を実感する人が多い中、比較的強い薬でもあるため、副作用が出る人もいます。副作用は、頭皮の痒みやかぶれ、頭痛や動悸、めまいなどです。
特にミノタブは、成分が直接血液中に入り、全身に渡るため、副作用が起こりやすいと言われています。ちなみに、ミノキシジルの塗り薬では、局所に作用し血液に入ることはほぼないため、頭痛やめまいなどは起きにくいと考えられています。
ただ、塗り薬も頭皮に刺激を与えるため、頭皮のトラブルは報告されています。
様々なサイトがミノタブの副作用を軽く書いていますが、実は生死に関わる症状が出る可能性もゼロではありません。
そもそもミノキシジルは降圧剤として開発された経緯があり、心嚢液貯留(しんのうえきちょうりゅう)が起こる可能性もあるそうです。場合によっては心タンポナーデといわれる状態に進行し、緊急処置が必要になるケースも。
ミノキシジルの塗り薬は、日本皮膚学会が監修した脱毛症診療ガイドラインにおいても、有効であるとA判定をもらっています。
引用元:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
しかし、ミノキシジルの飲み薬は、このガイドライン上ではD判定と評価は低いです。これは、効果はある程度確認されているものの、保険で認可されておらず副作用の評価も不十分であるため、使用しない方がいいと発表しているのでしょう。
薬ごとにどういった症状が現れるかをきっちり確認し、身体に負担をかけない状態で、うまく活用したいところですね。
プロペシアの副作用と症状の確率
プロペシアをはじめ、脱毛を防ぐ治療薬の副作用は、性欲減退をはじめとする男性機能の症状や肝機能に関する症状があります。
男性機能に関しては、プロペシアが5αリダクターゼに対してアプローチをするため、男性ホルモンの減少にも繋がります。
- 性交への興味がなくなる
- 性的刺激で性欲がわかない
- セックスの回数が減る
- 勃起不全や勃起が持続しない、十分に硬くならない
- 精液量が減少する、射精後に尿が白濁する
- 前立腺の不調:精巣痛、頻尿、残尿感など
というような副作用も報告されています。
肝臓に関する症状は、
- 肝臓の炎症
- エネルギー代謝が落ちる
- 人体にとっての老廃物を代謝する機能が低下する
など挙げられます。
しかし、プロペシアで副作用が出る確率は、1000人中に5人程度とかなり低く、心配しすぎる必要もないと思います。
薄毛薬を使用する場合は、プロペシアから使用してみて、様子を見ると良いでしょう。
薄毛薬の入手経路は?!パワフルな海外輸入品は危険
薄毛治療薬に関して、どういった入手経路があるのでしょうか。薄毛の治療薬を入手したいと思ったら、以下を参考にしてください。
海外の並行輸入品など日本人への作用は実際のところはどうか気になりますね。
AGA専門クリニックや病院での処方
AGA専門クリニックや皮膚科など、病院で処方してもらうのが基本となります。
問診と医師の診断により、その人の薄毛の原因を特定し、正しい薄毛薬を活用することが、改善の第一歩になります。
さらに数ヶ月間服用してみて、どのような症状が出ているか、場合によっては血液検査など行い、変化が確認できるのも医師の診察がある治療ならではの魅力です。
髪は生命活動に関係ないと言われているため、栄養も後回しにされがちです。薄毛治療を投薬で行い、健康を害するようなら本末転倒です。
きっちり医師のご指導のもと、薄毛改善の処方薬をいただきましょう。
市販薬はある?ドラッグストアで購入可能?
処方薬を活用する治療法の場合、自分の身体に見合った薬が見つけられるというメリットはありますが、その分お薬代が高くなるというデメリットもあります。
そのため、ドラッグストアをはじめ市販薬で薄毛治療薬が手に入ったらいいのにと思う人は少なからずいます。
海外輸入代理店を通じた個人輸入
処方薬以外に薄毛の薬を入手する方法は実はあります。
それは、海外薬の輸入代行の通販サイトや代理店などから購入するケースです。
確かに治療薬は手に入りますが、その薬が自分に見合った薬か分からないのと、副作用が出たときの対処など、全て自己判断になってしまいます。
基本的には、病院もしくはオンライン診療などを利用して医師の診察のもとで処方薬をもらうようにしましょう。
薄毛薬選びは弱いものから。副作用には気をつけて使用すべき
薄毛薬は、大きく分けると2通りあります。発毛を促す薬と脱毛を防があり、発毛薬はミノタブが有名で、脱毛を止める薬はプロペシアが有名です。
どの薄毛薬を使うかは、症状によって異なりますが、4人に1人がなっていると言われるAGA(男性型脱毛症)のケースで、飲み薬を使う場合、プロペシアなど副作用のでる確率が少なく、比較的弱い薬から使用し、経過を見ていくことが一般的です。
効果が出れば続ければいいし、そうでなければ体質を見ながらザガーロやミノタブを医師の相談のもと検討してはいかがでしょうか。